3月の屋久島登山記録|淀川登山口から宮之浦岳・縄文杉を往復した15時間

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2026年3月15日、淀川登山口から宮之浦岳を越えて縄文杉へ行き、同じ登山口へ戻った。3時48分から18時48分まで、15時間の登山記録です。

2026年3月15日、日曜日。

僕は屋久島の山の中にいた。

ヘッドライト1本の明かりだけを頼りに、深夜の登山道を歩いていた。

気温3℃。 足元には雪。 周囲は漆黒の闇。

登山は人生で2回目。

この日歩いたのは、淀川登山口から宮之浦岳(標高1936m・九州最高峰)を越えて縄文杉まで行き、また宮之浦岳を越えて戻ってくる往復ルート。

当時YAMAPで確認した計画は約17時間、距離は約23km。現在の標準所要時間や、初心者向けの目安ではありません。

どう考えても、登山2回目の人間がやっていいルートじゃない。

でも、やった。15時間で歩き切った。

あんまり旅の詳細を書くのはダサいけど、記録にしておきたいのと、これから屋久島登山に行く人に少しでも参考になればと思い書いておきます。

注意

⚠️ 本記事は無謀な登山を推奨するものではありません。

今回の挑戦は十分な準備とは言えない部分も多く、登山ガチ勢の方には怒られる覚悟で書いています。

これから登山を考えている方は、まず適切な難易度のコースから始めること、無理のない登山計画を立てられることを強くおすすめします。

3月の淀川ルート、初心者でも同じ計画で歩ける?

僕の15時間の往復を、初心者向けの計画としてはすすめません。雪と凍結への準備が足りず、危険を感じる場面がありました。

歩き切った達成感と、準備不足だったことは両方残しておきます。環境省の宮之浦岳往復ルート案内でも、装備と行動判断を要する経験者向けの道として紹介されています。僕らはさらに縄文杉まで往復しました。

  • 雪・装備:当日は体感で行程の約7割が雪道。冬山の経験と、靴に適合する滑り止め、防寒・非常用装備を含めて準備が必要でした。
  • 水・食料:500mlの容器に途中で水を補給していたので、総飲水量が500mlだったわけではありません。行動食もほぼ使い切り、余裕が足りませんでした。
  • トイレ:僕ら3人は行動中に大便が出ませんでしたが、誰でもそうなるわけではありません。携帯トイレと利用場所を確認して持参してください。

出発前はYAMAPの直近記録だけでなく、屋久島世界遺産センターの最新情報、天候、通行状況を確認し、経験者や現地ガイドに相談してください。環境省の冬の装備と携帯トイレの案内も確認先です。

なぜこのルートにしたか——前日まで悩み続けた話

屋久島旅行で撮影した当時の写真

「5秒で決まった」なんてことは全然なくて、実際は前日のギリギリまでルートで悩み続けた。

今回の旅はバイク友達3人での旅行だった。

YAMAPによれば、淀川登山口から宮之浦岳を経由して縄文杉で折り返すルートは、5時開始でも登山終了が22時半の予定になる。

22時半じゃ夜ご飯に行ける場所がなくなる。それは避けたい。

それに、疲れ果てた後半に暗い山道を下山するのは危険じゃないか——という話にもなった。

じゃあ、みんなと同じ「荒川登山口→縄文杉」の往復ルートにするか。

でも、みんなと同じことをするのはつまらない。

3人とも「普通の観光コースを歩く」という選択肢は最初から好きじゃないタイプだった。

荒川にするか、淀川にするか。

グルグルと悩んで、出した結論が「起きる時間を早めればいい」という強行突破だった。

深夜2時起き、2時半出発。それなら登山終了を20時台に持ってこられる計算になる。

ご飯も食べられる。暗い下山も最低限で済む。

暗い下山を短くする狙いだった。ただ、出発を早めても雪山の装備不足は解決しない。その反省は残った。

登山前日・14:00 買い出し

屋久島旅行で撮影した当時の写真

翌日の行動食と補給用のものを買い出しに行った。

  • おにぎり(一人4〜5個)
  • ナッツ類
  • チョコレート系のお菓子
  • ドライフルーツ(マンゴー、パイナップル)
  • ポテトチップス
  • キャラメル
  • プロテインバー

このあたりをチョイス。

自分は筋トレ10年くらいの経験から、サプリメントの力を信頼していたので、サプリメント類も持参した。

15時間行動することになるので、食料は余るくらい用意しておくべきだったと後から思う。

購入時は「買いすぎかな?」と思っていたけど、今回はギリギリ全部なくなる量だった。

登山前日・19:00 イルマーレで夕食

屋久島旅行で撮影した当時の写真

買い出しを終えて、夕食はイルマーレというイタリアンのお店へ。

当時、ナポリで修行されたオーナーのお店と聞いて訪れた。

まず出てきたナポリのビールが初めてで、フルーティーで美味しかった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

鹿肉が乗ったピザ、クワトロフォルマッジのはちみつがけ、イカスミのパスタ……3人で頼みまくった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真
屋久島旅行で撮影した当時の写真
屋久島旅行で撮影した当時の写真
屋久島旅行で撮影した当時の写真

全部めちゃくちゃ美味しかった。

スタッフが2人しかいないのにめちゃくちゃ混んでいて、最初のピザ以外はかなり待ったけど、全然気にならないくらい美味しかった。

3人で腹いっぱい食べてお会計13,000円ほど。

翌日15時間歩くことになる人間の前夜の食事として、これ以上ない内容だったと思っている。

イルマーレマジでおすすめです。

https://maps.app.goo.gl/FCRJMbe68EXNUVbN7

〒891-4207 鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田815−92

営業時間・休業日・予約方法は変わるため、訪問前にお店の最新案内で確認してください。以下の料理と金額は2026年3月に訪れたときの記録です。

イルマーレの予約について

僕が行ったときは混んでいたので、事前に予約できるか確認するのがおすすめ

インスタのDMで予約したほうがいいかもです

インスタ↓

ilmare.yakushima

前日夜・21:00 宿(縄文の宿まんてん)へ

夕食を終えて宿に戻り、夜9時に部屋の電気を暗くした。

翌朝2時起きで、眠れる時間は長くても5時間ほどだった。 「登山前日に眠れるかな」と少し不安だったけど、無理やり電気を消して目をつぶっていたら9時半か10時には落ちていた。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

そのまま深夜2時に目が覚めた。

前日に1つだけ仕掛けをしておいた。 スマホをベッドからできるだけ遠い場所に置いておいたのだ。

アラームを止めるためには布団から出て足の裏を床につけなきゃいけない。

それだけで、もう体は起き上がってしまっている。

これ、マジで効いた。これなしだったら絶対に起きれなかったと思う。

アラームを止めた瞬間、すぐ筋トレ用のプレイリストを流した。 激しいビートの「レッツゴー」系の曲。

眠気がスパッと吹き飛んだ。これもガチでおすすめ笑

2:00 ロビーへ

僕が泊まった縄文の宿まんてんの外観
今回泊まった宿の外観。

宿のロビーに下りると、お弁当が複数並んでいた。

「登山者向けのお弁当です」という案内とともに。

……え、お弁当?

チェックインのときに「お弁当は必要ですか?」と聞かれていたのだが、深夜2時半に出発する予定だったので「そんな時間に用意されるわけない」と勝手に思い込んで「いりません」と断っていたのだ。

完全に誤算。深夜2時でもちゃんと用意してくれていた。

登山前の食事はそのままスタミナに直結するので、必要ですと答えるべきだった。反省。

今回泊まった「縄文の宿 まんてん」は登山者向けの気配りが細かくて、いい宿だった。

天然温泉と縄文の宿「まんてん」 <屋久島>

2:30 淀川登山口へ出発

車に乗り込んで、宿から約50分かけて淀川登山口へ向かった。 (宿の予約時点では荒川登山口からスタートする予定だったから、荒川登山口の近くの宿だった)

深夜の山道はぐねぐねと曲がりくねっていて、車内でおにぎりを1個食べたけど酔いそうで危なかった。

対向車はゼロ。真っ暗な山道をヘッドライトだけで走る感覚はなかなか不思議だった。

登山口からの標高差だけでなく、途中の登り返しまで含めた計画を把握できていなかった。どれだけ準備不足だったかがよくわかる笑。

事前の情報収集は本当に大事だと痛感した。

3:30 淀川登山口 到着

屋久島旅行で撮影した当時の写真

車を降りた瞬間、想定よりも寒かった。気温3℃。

山の冷気が肌に刺さる感じで「あっ、これやばいかも」と思った。

フリースを持ってこなかったことをここで初めて後悔した。

でもどうしようもないので、持ってきた装備を全部着込んで、できる限り暖かい格好に整えた。

メリノウールインナー

長袖トレーニングシャツ

バイク用薄手のウインドブレーカー

レインウェア(ワークマンのイージス)

バイク用の薄いグローブ

結果的にこの服装で良かったと思う

体温調節もしやすかったし、歩いているときはむしろ暑かった。ただ、休憩や行動不能時まで同じとは限らないので、防寒着を省いてよいという意味ではない

3人とも口々に「やばい」「暗すぎ」「怖っ」と言い合っていた。笑えるけど笑えない。

でも、ふと顔を上げると別の世界が広がっていた。

満天の星空だった。

街灯ゼロ、雑光ゼロ、山の夜空に、無数の星が降り注いでいるような密度で輝いていた。

「やばい」が「やばい!(歓喜)」に変わって、3人でしばらく空を見上げた。

こんな星空、都市では絶対に見られない。

出発前に3人で円陣を組んだ。「屋久島ファイ、おーー!」と叫んで、闇の中へ踏み込んでいった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

3:48 登山開始——山姫の話

屋久島旅行で撮影した当時の写真

真っ暗な山道を、ヘッドライト1本の光を頼りに歩く。

夜の登山は初めてだったけど、実際に歩いてみると思っていたより全然普通に進めた。

ヘッドライトさえあれば足元はしっかり見えるし、慣れてくると恐怖よりも静けさの心地よさが上回ってくる。

「暗いこと自体はそんなに怖くない」というのが正直な感想だった。

ただ、僕はひとつ余計な知識を持ち込んでしまっていた。

フェリーの船内に屋久島に関する本が置いてあって、暇つぶしに読んでいたのだ。 その中に「山姫」の話が載っていた。

屋久島、もっと知りたい (人と暮らし編)

屋久島には古くから山姫という妖怪の伝承があって、踵まで届く長い黒髪を持つ美しい女の姿をしているという。

山の中に現れた山姫に笑いかけられて、笑い返してしまうと血を吸われて死んでしまう——という話だ。

これを船の中で読んでしまったのが完全に裏目に出た。

暗い山道を歩きながら「今この瞬間、木の陰から山姫が笑いかけてきたらどうする?」という考えが頭から離れなかった。

そういう状況になったとして、「笑い返したら死ぬ」と知っていて笑い返さずにいられる自信が、正直なかった。

愛想笑いしてしまう可能性が十分にあった。

いや、普通に怖すぎて叫びながら逃げるか。

心の中でそんな恐怖を抱えながらも、外面上は平静を装いつつ、一定のペースで歩き続けた。

結果的に山姫は出なかった。動物の気配も一切なかった。

でも、あの「出たらどうしよう」という緊張感は今思い返しても笑える。

屋久島に行く前にそういう伝承を読むのは、ある程度の覚悟を持ってからにしたほうがいい笑

4:00~5:00ごろ 凍結と湧き水、ロープセクションを初体験

屋久島旅行で撮影した当時の写真

歩き始めた当初から、足元はじゃりじゃりと霜を踏む感触が続いていた。

凍っているのはわかっていた。でもまだ歩けていた。

4時ごろ、ついにつるつるで滑って登れない坂が初めて出てきた。

トレッキングポールを刺して、横の木や草を掴んで、なんとか体を引き上げる。

慎重に、慎重に。それでも何度か足が滑った。

かなり苦労した。

そしてふと思った。

「この先、標高が上がったらもっとやばいんじゃないか。 やっぱりこのルートを選んだのは間違いだったんじゃないか。 引き返した方がいいんじゃないか。」

でも、考えないようにした。前だけ見て、足を動かし続けた。

むしろいつの間にか、凍結路面を楽しむようになっていた。

怖いより、おもしろい。そっちの気持ちが勝っていた。

そしてもう一つ、初体験があった。

道中に湧き水が流れている場所があって、せっかくだからと飲んでみた。

冷たい。めちゃくちゃ冷たい。 そして、美味しかった。

ペットボトルの水とは明らかに違う、雑味がない透き通った味。

屋久島の水がうまいとは聞いていたけど、山の中で飲む湧き水は別格だった。

疲れた体に染み渡る感じがして、大自然の恵みをありがたく頂戴した。

ただし、冷たく澄んでいても、安全な飲み水とは限りません。CDCの野外での水処理案内を参考に煮沸・適切な処理を考え、補給できない場合の水も計画に含めてください。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

途中けっこうな斜面をロープで下るセクションもあったりして、冒険感が強くてワクワクした。

雪道の中でそういう場所が出てくると「あ、これ本当に登山だ」という実感が湧いてくる。

「こういうの好きだな」と思いながら進んでいた。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

仲間の1人が調子に乗って片手で降りて、足を滑らせてこけてた爆笑

幸い背中のリュックに守られて無傷で済んでよかった。

滑った仲間を茶化して、3人で笑いながら進んだ。

ただ、正直なことを言うと道は意外と整備されている場所が多かった。

人工の階段があったり、山道を保護するために作られた木道が続いていたり。

「結局は人が作った道を歩いているのか……なんかしょうもないなぁ」なんてクソ舐めたことを思っていた笑。

今となってはそんなこと思えるほど余裕があった序盤が懐かしい。

5:30〜6:00ごろ 日の出と雲海

屋久島旅行で撮影した当時の写真

歩き始めてから2時間ほど経った頃、東の空がじわじわとオレンジに染まり始めた。

暗闇の中を歩き続けた後に、世界に光が戻ってくるあの感覚は独特だった。

「ああ、また世界が戻ってきた」という安堵感とでも言えばいいか。

山の中で夜を越えた人間だけが知る感覚だと思う。

太陽が昇るにつれて気づいた。

雲より上にいる。

ちょうどロープを使って勾配が強めな崖を登って遠くを見ると、オレンジ色の朝日に照らされた白い雲の絨毯が広がっていた。

雲海だった。

3人とも雲海を見るのは初めてで、「うわっ、雲海や!」「本物やん!」「えっ、すごい!」と大騒ぎになった。

遠目だったのでぼんやりとしか見えなかったけど、それでも十分すぎるほど神秘的な景色だった。

しばらくすると、どこからかウグイスの声が聞こえてきた。

朝日に染まった山の中で、ウグイスの声をBGMにおにぎりや行動食を食べた。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

標高1000m超の場所で食べる朝ごはん。これだけで「来てよかった」と思えた。

3月の屋久島は雪まみれだった

屋久島旅行で撮影した当時の写真

日が昇るにつれて周囲の景色がはっきり見えてきたんだけど、そこで待っていたのは衝撃の光景だった。

雪まみれだった。

一面の緑、苔むした岩と木、しっとりした幻想的な森——そういう屋久島を想像して来た僕には、完全に予想外だった。

全行程の約7割が雪道で、朝のうちは凍結がひどくてガチガチのツルツル。

「あれ、ここ屋久島だよな?」

3人で顔を見合わせて笑った。笑うしかなかった。

でも、雪が残る山もそれはそれでキレイで好きだった。

3時から11時ごろまでは特に凍結がひどくて、道端の草や木を掴みながら、凍っていない端っこを探して進む——という動きを延々繰り返した。

ゴアテックスのサロモンのトレッキングランニングシューズは僕には蒸れにくく感じられ、15時間歩いた今回、靴の中への浸水は感じなかった。(ガッツリ雪や雪解け水に入るのは避けるようにしていた)

本当に優秀だったんだけど、凍結路面だけはどうしようもなかった。

何度も言うけど後から思えば、アイゼンを持ってくるべきだった。

これが今回の最大の反省点。

3月の淀川ルートは普通に冬山だった。

事前にYAMAPで直近の登山者の記録を確認していれば絶対にわかったことで、それを怠ったのは完全に自分の落ち度だった。

ちなみに12時以降は太陽のおかげで雪がどんどん溶けて、午後は普通に歩けた。

快晴じゃなかったら絶対に諦めていたと思う。天気に本当に救われた。

余談

屋久島旅行は2泊3日だったんやけど、3日間雨は一滴も見ていない。

奇跡。

フェリーもよく止まって予定通り行き来できないと聞いていたが、行きも帰りも予定通り運航してくれた。

(行きは⚠折り返す可能性ありだったけど)

屋久島は呼ばれた人しか行けないと言われているけど、僕たち3人は本当にラッキーだった。

持参したサプリと、「助かった」と感じた後半の話

僕は筋トレでサプリに親しんできたので、BCAA、クレアチン、カフェイン、マルチビタミン、オメガ3、キューピーコーワゴールドα、塩を持参した。BCAAとクレアチンと塩は袋にまとめ、水へ混ぜていた。

特に覚えているのは16時頃。足がガクガクになり、みんなのペースが落ちた頃にカフェインをとったこと。下山後には3人で「サプリなかったら多分無理だったよね」と話した。

それくらい助かったと感じたのは本当。ただ、食事、休憩、天候、仲間の励ましもあったので、どの成分がどれだけ効いたかは分からない。サプリで15時間歩けると実証したわけではないです。

ISSNのカフェインに関する見解(2021年)は運動能力への効果を整理していますが、個人差や睡眠などへの影響もあります。疲れや眠気を感じにくくしても、体力や判断力が回復した証拠にはなりません。

また、キューピーコーワゴールドαは医薬品です。メーカーの製品情報ではカフェインも含まれます。別のカフェイン製品などとの重複に注意し、用法・用量を守ること。添付文書では他の容器への入れ替えも避けるよう案内されています。当時の持ち運び方や仲間への分配を、おすすめの手順にはしません。

クレアチンも、その場で糖質の代わりになる行動食ではありません。食料・水分・休憩の計画を先に考えることが大事でした。役割の違いは筋トレのサプリを使ってきた僕の整理へ。

8:30 宮之浦岳(1936m)登頂

屋久島旅行で撮影した当時の写真

出発から約5時間。8時30分ごろ、宮之浦岳の山頂に立った。

山頂に着くと、先客が2人いた。少し後から3人が登ってきて、合計5人になった。

全員、靴にアイゼンをつけていた。

3人で無言で顔を見合わせた。「あ、やっぱりそれ必要なんだ」という目線が交差した。

その場では、アイゼンなしで来たことをこっそり誇らしくも思った笑。でも、準備不足を誇るところではなかった。

山頂は風が強くて寒かった。でも、景色が圧倒的だった。

見渡す限り、自分より低い山しかない。

ここが九州で一番高い場所なんだという事実を、景色で実感する。

朝から歩いてきた全部が、この瞬間に報われる感じがした。

山頂は風が強くて寒かったこともあり、10〜15分ほど休憩してから縄文杉に向けて歩き始めた。

宮之浦岳から縄文杉へ——今回一番危なかった下り

屋久島旅行で撮影した当時の写真

今回の登山で一番危険だったのは、正直ここだった。

宮之浦岳からの下りは、標高が高いぶん雪と凍結がそれまでより格段にひどかった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

しかも下りの勾配が強い。

踏み外せば登山道から外れて滑落する危険があるし、ただ転んでも怪我するリスクが十分あった。

正直、死の危険を感じた。

そこで起きたのが、仲間の一人の話だ。

彼はワークマンのトレッキングブーツで来ていた。

先頭を歩いていた僕がしばらく待っていても、全然降りてこない。

しばらくすると、雪まみれになったそいつがようやく現れて「ちょっと無理そうです」と言った。

顔も相当しんどそうで、正直「ここで引き返すか」という空気になった。

でも、ここまで来たら縄文杉を見たかった。

「靴を交換して、一回降りてみよう。それでダメだったら諦めよう」と言って、下山継続を選んだ。

僕がワークマンのブーツを履いた感想としては、正直サロモンとそこまで大差はなかった。

若干サロモンの方がグリップの安心感はあったけど、決定的な差じゃない。

当時は、足の置き方を伝えると仲間も少し進みやすくなった。ただ、草木につかまって降りる方法や靴の交換を、アイゼンの代わりとして教えることはできない。僕らが通れたことと、安全だったことは別だった。

ここは、進みたい気持ちより撤退を優先すべき場面だったと思う。雪や凍結に対応できる装備・技術がない状態で、同じ通過を試してほしくありません。

当時歩いた雪と凍結が残る登山道
当日の凍結した道。通過方法のお手本ではなく、準備不足だった状況の記録です。

11:30 縄文杉 到着

屋久島旅行で撮影した当時の写真

正直に言うと、最初に見た時はあまり凄さがわからなかった。

淀川登山口ルートから縄文杉に近づくと、最初に拝める場所が高い位置にある展望デッキなのだ。

そこからだと縄文杉の上半分が隠れていて、遠目に太い幹が見える程度。

「でかいな」とは思ったけど、正直思っていたほどの衝撃はなかった。

でも、デッキを下りて、下段から見上げた瞬間に全然違った。

縄文杉の全体が視界に入る。 幹の圧倒的な太さ、高さ、存在感。

何千年という時間をその一本が生き続けてきたという事実が、頭じゃなく体に伝わってくる感じがした。

木の切れ間から日光が斜めに射し込んで、縄文杉を照らしていた。

神々しかった。

みんな一瞬で笑顔になった。

そして誰からともなく「ああ、これを見るために来たんだ」という空気になった。

「宮之浦岳で引き返さなくてよかった」その場ではそう思った。景色に感動したことは本当だけど、それで危険な判断が正しかったことにはならない。

縄文杉は、わざわざ行く価値がある。

写真でも動画でも伝わらない。下段のデッキから見上げて初めてわかるものだと思う。

他の登山客の方に3人の写真を撮ってもらい、15分ほど休憩してから、また宮之浦岳へ向かった。

「また登るのか」というきつさは正直あった。

でも、車はあっちにある。帰るには戻るしかない。

前を向いて、歩き始めた。

12:00以降 復路——気合いと焼肉のモチベで歩いた話

屋久島旅行で撮影した当時の写真

12時を過ぎると、太陽のおかげで雪がどんどん溶けていった。

往路であれほど苦しめられた凍結区間も、帰りは普通に歩けた。本当に天気に助けられた。

2回目の宮之浦岳に着いた頃には、足がガクガクだった。

筋トレを10年以上続けている僕でさえ、太ももと膝とふくらはぎと足裏が全部同時に痛かった。

足を止めて立っていると、足がプルプル震えているのがわかった。

宮之浦岳山頂付近の「平石」というところで、岩の上から景色を見た場所があった。場所の呼び名は当時の記憶です。登山道を外れることをすすめる案内ではありません。

その先の崖からの景色が最高だった。個人的に今回の登山で一番好きな景色の場所だった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

こういった景色を見ると不思議と元気が出た。景色のパワーって本物だと思う。

2回目の宮之浦岳登頂を達成し、その後の下山はほぼ気合いだった。

膝が痛くてきつかったけど、膝が痛いということを逆に「膝気持ちいい」って言いながら進んだ。 みんなで爆笑しながら歩いた。

メンタルって地味だけど本当に大事で、ネガティブなことを口に出すと一気に雰囲気が落ちる。

沈黙の時間が続くと気持ちが落ちてくるので、なるべく声を出す。

歌を歌ったり、ポジティブな言葉を声に出したりしながら足を前に動かし続ける。 これが思いの外、効いた。

そしてもう一つ、今回の最強のモチベーション。

「22時閉店の焼肉屋に行きたい。」

それだけだった笑

18:48 下山完了

日の入りが18時25分の予定だったので、なるべく日の入り前にできるだけ進もうと、ハイペース、なんならジョギングしながら急いだ。

当時は補給のおかげだと感じた。でも、足が痛い状態で急いだことまで良い判断だったとは思わない。

まあ焼肉のモチベも相当効いていたけど。

「淀川登山口0.6km」の看板を見た。

正直、そこからがめちゃくちゃ長く感じた。

まだかまだか——でも考えないようにした。

膝が痛い。足裏も痛い。ふくらはぎは悲鳴を上げている。

だんだん暗くなってきた。

集中しないとつまずいてケガする。

無心で、ただ足を前に動かし続けた。

そしてついに、下りの階段の先に白いアクア(レンタカー)が目に飛び込んできた。

その瞬間、全身にゾワッと鳥肌が立った。

帰ってきた。

全員で大叫び、大はしゃぎ、大笑顔。

「やばすぎ!」「ゴールや!」「しゃー!!」「涙出そうなくらいうれしい」

疲れが一瞬で吹き飛んだ。

2026年3月15日、18時48分。淀川登山口に帰還した。

YAMAP想定17時間を、2時間巻いての完走。

日の入りの23分後。

下山時はヘッドライトをほとんど使用せず下山することができた。

3人で「まじでありがとう!」と言いながら抱き合った。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

3人で抱き合ってる感動のシーンなんだけど暗くてなにもわからん笑

達成感が体の隅々まで広がっていく感覚があった。

余韻もほどほどに、みんなすぐ車に乗り込んで焼肉屋をめざした笑

20:00 焼肉れんが屋

屋久島旅行で撮影した当時の写真

焼肉れんが屋

下山してすぐ、休憩もほとんどせずに車に乗り込んだ。

22時閉店、車で50分。着いたのは20時ごろ。

席に着いて、まず生ビールを頼んだ。

グラスがキンキンに冷えていた。

泡がきめ細かくて、注ぎ方へのこだわりがひと口でわかった。

飲んだ瞬間「このビール、レベルが違う」とわかった。

普段ビールは1杯しか飲まない僕がこの日は3杯飲んだ。

3杯目まで美味しいと感じたのは人生で初めてだった。

ビールがうまい店は料理もうまい、これは本当だった。

上塩タン、カルビ、千枚刺し、レバ刺し、黒豚のウインナー、ジビエ(鹿肉)、黒豚の肩ロース……食べまくった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

ジビエの焼肉は初めてだったけど鹿肉が全然臭みがなくて最高だった。 大ライスと一緒にかき込んで、15時間分の疲れが体から抜けていく感じがした。

3人で「ほんまに俺ら、すごくね?」と言い合いながら食べた。

食べ過ぎて翌日ちょっともたれたのはご愛嬌笑。

3人でお会計21,000円ほど。

値段もそこまで高くないし、文句なしで最高の打ち上げだった。

屋久島でうまいジビエも食べられる焼肉に行きたい方は、「焼肉れんが屋」まじでおすすめです。

https://maps.app.goo.gl/WGsQ3BB9ZaiZVMxE7

営業時間・休業日・予約方法は変わるため、訪問前にお店の最新案内で確認してください。以下の料理と金額は2026年3月に訪れたときの記録です。

反省まとめ

① YAMAPで直近の登山記録を読むこと 雪と凍結の状況は事前に把握できた。怠ったのは完全に自分のミス。

② アイゼンは必携(3月の淀川ルートは冬山) アイゼンなしで歩けたのは快晴のおかげと運だったと思う。

③ 宿のお弁当は、深夜の受け取りも相談すること 僕の宿泊時は深夜出発にも対応していた。必要なら予約時に受け取り時刻を相談したい。

④ 食料は余るくらい持っていくこと 15時間の行動でギリギリ全部なくなる量だった。もっと多く持つべきだった。

装備リスト

以下は実際に使った道具の記録。雪山の推奨装備一覧ではなく、足りなかったものも含めて読んでください。

シューズ・ウェア

  • ゴアテックスのサロモン トレッキングランニングシューズ(ローカット)+登山用ソックス
  • 下半身:ナイキのロングランニングパンツ+ワークマン イージス(レインウェア)
  • 上半身:モンベル メリノウールインナー+運動用長袖Tシャツ+ウインドブレーカー+イージス

補足

※この装備構成は登山2回目の筆者が実際に使用したものであり、推奨装備ではありません。

特に3月の屋久島は冬山です。

登山経験や体力、天候に合わせて、必要な装備を専門店などで確認した上で準備することをおすすめします。

リュック(10Lランニングリュック)

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リュックの容量について

今回使ったのは10L。ただし、防寒着など必要な装備を収める余裕が足りず、同じ雪山計画の推奨容量にはできない

フリースをリュックに忍ばせたいなら10Lだと足りないと思う

歩いて暑くても、止まったときの防寒は必要。防寒着が入らないなら、装備を減らすより容量を見直したい

上に貼ってるリュックは揺れにくくて蒸れにくく、値段も安くてコスパ最強

トレッキングポールも挿せるし、肩紐が幅広で肩が疲れにくい

あと肩紐のところ左右にポケットがついていて、これが地味にいい

ポケットにスマホを入れておくことができるので、YAMAPを確認する際にするに取り出すこともできたし、スマホで動画撮影もできた

まじでおすすめです

持ち物

  • 行動食(おにぎり・エネルギーゼリー・ナッツ・チョコ系)
  • ヘッドライト
  • トレッキングポール
  • 水筒500ml(当日は途中で補給。推奨の携行量ではありません)
  • おしりふき・ポケットティッシュ(水に流せるタイプ)100均
  • サプリメント一式
  • DJI アクション6(アクションカメラ)

アクションカメラは持っていって本当によかった。下山後に映像を見返すたびに余韻に浸れる。

DJI Osmo Action 6 エッセンシャルコンボ

事前の体力づくり 週3ペースで4〜7kmのランニング。 ポイントは本番と同じシューズで走ること。 トレッキングランニングシューズは普通のランニングシューズより重くてクッション性が薄い。 事前に履き慣らしておくと、本番で「いつも通りの感覚」で歩ける。

登山初心者が揃えるべき装備品は別の記事で詳しくまとめようと思う。

おまけ:屋久島グルメと観光

せっかくなので今回の旅で行った場所も全部まとめておく。

レストラン&カフェ屋久島 トビウオラーメンを食べた。出汁が効いたあっさりスープが美味しかった。麺は普通だったけど、トビウオ自体は淡白な味で屋久島ならではの体験として食べる価値あり。

屋久島旅行で撮影した当時の写真

イルマーレ 前述の通り、登山前夜に行ったナポリ修行オーナーのイタリアン。3人で腹いっぱい食べてお会計13,000円ほど。コスパ最強で最高だった。予約の可否や受付方法は、お店の最新案内で確認してください。

タマカフェ フェリーまで時間があったので屋久杉自然館の近くで見つけて寄ったカフェ。ご夫婦で営む温かい雰囲気のお店で、ほうじ茶チーズケーキが絶品だった。リラックスしていたらお腹が空いてきて、結局グリーンカレーも追加した。鹿肉の出汁が使われたカレーで、これも最高だった。

屋久杉自然館 あまり期待していなかったけど、登山の後に行くと最高に面白かった。屋久島の歴史と自然が体系的に知れて、「さっきあの山の中にいたんだ」という感慨がより深まる。昔の屋久島の人の生活とか、トロッコがどうゆう風に使われていたのかがわかるビデオが特に興味深かった。当時の入館料は600円。登山と合わせてぜひ。

宿 縄文の宿 まんてん、サマナホテル、どちらも最高だった。

特にサマナホテルはホスピタリティとロケーション、ビュッフェ、温泉、部屋どれをとっても最高だった。 屋久島旅行に行く人にはぜひ泊まってほしい、心からおすすめできる最高のホテルだった。

屋久島旅行で撮影した当時の写真
屋久島旅行で撮影した当時の写真

サマナホテルの温泉はとぅるっとぅるすぎてまるで化粧水のお風呂に浸かってるみたいだった…!

今まで入った温泉でとぅるっとぅるランキング1位は嬉野温泉だったけど、それを超えてきて衝撃だった

温泉から見えるオーシャンビューも最高でした

屋久島旅行で撮影した当時の写真

朝食ビュッフェもさいこーすぎたなー

屋久島旅行で撮影した当時の写真

ホテルの外の景色もさいこーでした

最後に・学んだこと

登山2回目で17時間想定ルートを15時間で歩き切って、九州最高峰に2回立って、縄文杉の神々しさを全身で受け止めた。

日の出を山の中で迎えて、雲海を見た。満天の星空の下で円陣を組んで叫んだ。

終わった後の達成感は一生モノだった。準備不足だった部分は、次の登山へ持ち越したくない。

この登山を経て、3人の絆は少し深くなった気がする。照れくさくて直接言えてないけど笑

筋トレ歴が長くても、雪山を歩く経験や判断の代わりにはならなかった。次は、自分たちの経験に合う計画と装備を整えて楽しみたい。

屋久島の山、本当に最高だった。

今回の旅・冒険で学んだこと

  • 山を舐めてはいけない。改めて実感
  • 補給は大切。ただしサプリだけで歩き切れたとは言えない
  • 登山は楽しい。健康的だし、達成感すごいし
  • 仲間は偉大。仲間がいないとたぶん完走できてなかった
  • ゴアテックスは信用してなかったけどなかなかすごい
  • 夜道を歩いた経験は残ったが、ライトだけで安全が決まるわけではない
  • トレッキングポールは偉大。楽さが全然違う
  • 終わった後はしばらく登山はええかなって思ってたけど、ブログ書いてる今、割とまたあの達成感を感じたくなっている自分がいる。こうして人は登山にハマるのかもしれない

後日談

あれからしばらくして僕はトレイルランニングに興味を持った。

調べていくうちに衝撃の事実を知った。

トレイルランニングは山の中を走る競技で、長いもので100㎞を超える距離を1日で走る大会もあるとか、、、バケモノかよ

距離だけで難易度が決まるわけではなく、標高差、路面、制限時間、必要装備も大会によって違う。まずは経験に合う短いコースから調べたい。

50㎞以上、100㎞とか走る人にいつか話を聞いてみたい。

頭イカれてるとしか思えない。狂気の沙汰。

人生で1回は挑戦してみたい。

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今回の道具が向く場面と、買う前の確認

U-Makesの10Lリュックは、肩のポケットからスマホを取り出しやすく、僕には揺れにくく感じた。ただ、防寒・非常用装備を全部入れられない行程には容量が足りない。必要装備を決めてからサイズを選んでください。

DJI Osmo Action 6は、旅を映像で残したい人には候補になります。僕は帰ってから見返して余韻に浸れました。スマホで十分な人なら追加購入は不要です。充電や荷物の管理が増えることも考えて、DJI公式の仕様・同梱品を確認してください。

僕が使ったU-Makes ランバディ10Lの仕様・価格を確認する

購入したDJI Osmo Action 6 エッセンシャルコンボを確認する

参考引用情報

本人の過去記事・購入品記録を参照。資料確認:2026年9月26日。商品リンクにはアフィリエイトリンクを含みます。

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