脂質は、減らせば減らすほどよいわけではありません。カロリーを調整するときも、身体に必要な脂質まで抜いてしまわないことが大事です。
僕は2021年に、低脂質のやりすぎについて発信しました。当時から伝えたかったのは、「脂質をゼロに近づけることを目標にしないでほしい」ということです。
ただ、体調の変化を全部「脂質不足でホルモンが乱れたから」と説明するのは単純すぎました。この記事では、脂質そのものの役割と、食事全体を減らしすぎた場合を分けて整理します。
脂質は1日に何gくらい必要?
健康な成人の一般的な目安は、1日のエネルギーの20〜30%です。これは「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の目標量で、全員共通のグラム数ではありません。
脂質は1gで約9kcalなので、計算は1日のエネルギー量×脂質の割合÷9です。
| 1日のエネルギー量の例 | 脂質20〜30%をgに換算 |
|---|---|
| 2,000kcal | 約44〜67g |
| 2,500kcal | 約56〜83g |
| 2,700kcal | 60〜90g |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。上の表は割合から計算した例です。あなたに必要な総エネルギー量を指定しているわけではありません。
元の記事では男性の例として2,700kcalを挙げましたが、年齢だけで一律には決まりません。体格や活動量、体重の変化なども見て考えます。また、「減量の後半なら15%まで下げても安全」という共通の下限としては案内しません。
脂質を減らしすぎるときに気をつけたい3つのこと
1.必要な脂肪酸まで不足させない
脂質はエネルギー源であるだけでなく、細胞膜などを構成する材料でもあります。食事からとる必要のある必須脂肪酸も含まれます。
脂質を含む食品を片っ端から避けると、魚や大豆製品、ナッツなどまで選択肢から外れがちです。摂りすぎを調整することと、脂質を含む食べ物を全部なくすことは違います。
脂質の働きは、公益財団法人長寿科学振興財団の解説でも整理されています。
2.脂溶性ビタミンの吸収にも関わる
ビタミンA・D・E・Kは、脂に溶ける性質を持つビタミンです。脂質は、これらを吸収するうえでも関わります。
だからといって、低脂質の食事を一回しただけでビタミン不足になるわけではありません。毎日の食事から脂質を極端に抜き続けていないか、食品の種類が偏っていないかを確認する、という話です。
脂質を減らした穴を、自己判断で大量のビタミンサプリで埋める方向に進む必要もありません。まず食事全体を見直してください。
3.脂質だけでなく、エネルギー全体が足りなくなっていないか
筋トレも有酸素運動も頑張りながら、食事をどんどん減らしていく。こうなると、脂質の割合だけでなく、身体を維持するためのエネルギー不足が問題になります。
IOCの2023年の合意声明では、運動後に身体の機能を維持するために残るエネルギーが不足し続けることが、健康やパフォーマンスに影響する問題として整理されています。月経や骨の健康なども関わり、女性だけの問題ではありません。
疲れが続く、月経が止まる、練習の調子が大きく落ちるなどの変化があるなら、さらに食事を削る前に相談してください。症状だけで「脂質不足」と自己診断することもできません。
脂質は、どんな食べ物からとればいい?
一つの油やサプリだけに頼らず、普段の食材に含まれる脂質も合わせて考えます。
| 候補 | 取り入れるときの見方 |
|---|---|
| 魚 | タンパク源の選択肢にもなる。種類や調理法で脂質量が変わる |
| 卵・大豆製品 | おかずとして組み合わせる。脂質ゼロではないが、それを理由に避けなくてよい |
| ナッツ・アボカド | 少量でもエネルギーが増えるので、量を把握する |
| オリーブオイルなどの植物油 | 調理に使った分も脂質に含める。好きなだけ足せるものではない |
肉にも脂質は含まれます。同じ肉でも部位によって違うので、「肉は全部ダメ」「鶏なら全部低脂質」とせず、食べるものを見て調整します。
ファストフードやお菓子も、商品ごとに量や成分が違います。食べたら失敗と決めるより、頻度と一回量を確認するほうが続けやすいです。僕が食べ物をどう選んでいたかは、筋トレ中の食費と食材の話にも書いています。
減量中は、まず「減らす」より今の量を確認する
脂質が多いか少ないかを判断するには、肉や魚だけでなく、調理油、ドレッシング、間食も含めて見る必要があります。
逆に、油をほぼ使わず、脂身や卵黄、魚なども避けているなら、削りすぎていないかを確認してください。
僕が2021年の投稿で伝えたかったのも、脂質は身体に必要だということでした。筋トレを頑張るための食事が、体調を崩す食事になってしまわないようにしたいです。
減量の進め方全体は、僕の失敗も含めた減量の基本へ。脂質を減らす代わりに炭水化物まで極端に抜きそうなら、炭水化物の役割と量の考え方もあわせてどうぞ。
参考引用情報
- 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)。
- 長寿科学振興財団:三大栄養素の脂質の働きと1日の摂取量。
- IOC, 2023:Relative Energy Deficiency in Sportの合意声明。
確認日:2026年9月26日。

元パーソナルトレーナー、福岡のITベンチャーで働くサラリーマッチョ。
独学で55kgのガリガリ→75kg(筋トレ歴10年)
現在はおいしいものを食べるためにゆるく楽しく週5で筋トレ継続中。
元パーソナルトレーナー時代に得た知識と筋トレ歴10年の経験を共有します。
20代|168cm|75kg
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