筋トレ前のストレッチは必須? フォームをまねしても同じように動けないとき、何を確認すればいいのでしょうか。
筋トレ前は、これから行う動きの準備をすることが大切です。全員が長いストレッチを先に終わらせないと筋トレできない、というわけではありません。
ただ、フォームができない人に「もっと正しく動いて」と言うだけでは、何も解決しないことがあります。僕はトレーナーになったばかりの頃、そこを見落としていました。
今日は、僕の恥ずかしい失敗と、ストレッチをどこで使うかの話です。
「慣れていないだけ」だと思っていた、新人トレーナー時代
白状します。パーソナルトレーナーになったばかりの頃、お客様がフォームを取れない原因を、僕は「単純に慣れていないだけ」と考えていました。
正しいフォームで筋トレをしてさえいれば、カラダは整っていくものだ、と。
デッドリフトで腰が丸まってしまう人に、「腰は丸めないでください」と案内する。手本も見せる。でも、その通りにできない。
それで僕は、「なんでできないんだろう?」と真剣に考えていました。
いや、頭でわかっていてもカラダが言うこと聞かへんねん、という状態だってありますよね。実は僕、その案内をしちゃっていたんです。
お客様のカラダを見ながら勉強を続けるうちに、動かせる範囲や、動きにくい部分を考える大切さに気づきました。自分ができる動きを見せれば、それで伝わると思っていたことを反省しています。
フォームが取れない原因は、体の硬さだけ?
硬さだけではありません。動きへの慣れ、体格、重さ、痛みなど、複数の要因を考える必要があります。
元記事では反省のあまり、「フォームが取れない原因の大半は体が硬いから」とまで書いていました。でも、それも一つに決めつけすぎでした。
動きに必要な範囲が足りなければ、ストレッチが選択肢になります。一方で、軽くすればできるなら負荷設定、動きを分けるとわかるなら練習の進め方を見直す余地があります。
「腰が丸まるから、もも裏を伸ばせば全部解決」とは言えません。見本の形へ無理に押し込むのではなく、その人が無理なく練習できる形から考えたいです。
痛みやしびれがある場合は、伸ばして我慢する方向へ進めず、必要に応じて医療機関などに相談してください。
筋トレ前には、何をすればいい?
軽く体を動かし、使う関節を動かしてから、その種目を軽い負荷で練習する流れが出発点になります。
- 軽い歩行などで、無理なく体を動かし始める。
- これから使う部分を、痛みのない範囲で動かす。
- 軽い重量や自重で、本番と同じ動きを確認する。
- 動きや体調を見ながら、予定の負荷へ近づける。
この中で、特定の部分が動きにくく、短いストレッチで動きやすくなるなら取り入れる。全員同じ長いメニューをこなすより、今日の種目に必要な準備を考える方がわかりやすいと思います。
準備の段階で動きづらさが強いなら、負荷や種目を変える選択肢もあります。「柔らかくなるまで何か月も筋トレ禁止」という話ではありません。
静的ストレッチをすると、筋力が落ちる?
長く伸ばした直後は力を発揮しにくくなる場合がありますが、「30秒伸ばしたら必ず落ちる」と一律には言えません。
じっと止まって伸ばすのが静的ストレッチ、動きながら行うのが動的ストレッチです。
2016年の研究レビューでは、1つの筋群を合計60秒以上伸ばした条件で、短い条件より直後のパフォーマンス低下が大きい傾向でした。一方、ストレッチ後に動的な活動を含めた場合は、明確な影響が見られませんでした。
つまり、秒数だけでなく、その後の準備も関わります。重い重量を扱う直前に長く伸ばし続けるより、必要なら短く取り入れ、その後に軽いセットで動きを確認する方が使いどころを整理しやすいです。
柔軟性を高めたいなら、筋トレよりストレッチが先?
必ず先にストレッチだけをする必要はありません。筋トレ自体でも、関節を動かせる範囲が改善することがあります。
2023年の55研究をまとめたレビューでは、レジスタンストレーニングによる可動域の改善が確認され、ストレッチとの比較では有意な差がありませんでした。ただし研究条件はさまざまで、特定の痛みや動作の問題が必ず解消するという結果ではありません。
僕が以前書いた「まず体の歪みをストレッチで治してから筋トレ」という説明は、言い切りすぎでした。伸ばす練習と、動かす練習を、必要に応じて組み合わせればいいんです。
家でストレッチをするなら、何から始める?
痛みのない範囲でできる動きから、続けやすい時間に取り入れてみてください。元記事では、オガトレさんの全身ストレッチ動画を紹介していました。
動画と同じところまで伸ばす必要はありません。体勢がつらい、痛みが出る動きは飛ばしてください。全員に同じ内容が合うとは限りません。
いつ、どれくらい伸ばす?
僕は元記事で、お風呂上がりをすすめていました。日々の習慣にくっつけやすい時間を選ぶ、という意味でも候補になりますが、全員にとって科学的に一番いい時間とまでは言えません。
リラックスして取り組むなら、気持ちよく伸びる程度で20〜30秒ほどから試す方法があります。息を止めたり、痛いところまで無理に押したりせず、その日の感覚を見てください。高重量のセット直前とは目的を分けます。
どれくらいで柔らかくなる?
元の柔軟性や方法、頻度で変わり、「2か月で必ず」とは決められません。その場の伸ばしやすさと、続けた後の変化も分けて考えてください。
元記事に書いた「瞑想のように、自分の体と向き合う時間にする」という考え方は、今読み返しても残したいところです。深く伸ばせたかを競うより、どこが動きやすいかを確かめる時間にしてみてください。
筋トレを始めた頃の僕の別の失敗は、初心者時代にやってしまったことへ。フォームの見直しには、重さ・回数・フォームを記録する方法も役立ちます。
参考引用情報
- 本人の2020年10月16日の発信、トレーナー時代の反省を記した元記事。
- Behmら(2016):ストレッチ直後の身体パフォーマンス等のレビュー。
- Alizadehら(2023):レジスタンストレーニングと可動域の系統的レビュー・メタ分析。
資料確認:2026年9月26日。

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